お経のことば  

   

     「大哉解脱服」  「大哉解脱服 無相福田衣 被奉如来教 広度諸衆生」

 禅寺の朝は早い。大体夏は3時半、冬は4時頃には「振鈴」といって、係りの和尚が大きな鈴を

「ガラン・ガラン」と鳴らして、山内を走り回る。修行僧達は一斉に起きて顔を洗う。永平寺の場合は

「後架」といって、僧堂(坐禅堂)のすぐ後ろに洗面所があり、そこで顔を洗う。そして坐禅堂の中の

決められた「単」で、衣だけを着けて朝の坐禅が始まる。永平寺の場合は、朝の梵鐘が鳴り始めます。

そして約1時間、坐禅の終わりの合図、「抽解鐘」が鳴り、唱えるのが上述の「搭袈裟の偈」です。

「大哉解脱服 無相福田衣 被奉如来教 広度諸衆生」つまり、このお袈裟は大いなる仏様の

教えを身に付けるということなのだ、そして菩薩の行願「広度諸衆生」を実践するためにこのお袈裟を

つけるのだ。ということです。「度」とは渡すということで、菩薩とは「ボーディ・サットバ」の音写です。

『菩提』(ブッディ)は過去完了形『仏陀』(ブッダハ)の現在進行形に当ります。つまり菩薩はやがて

ほとけ(佛)になる立場にあるわけです。『菩薩の行願』というのは、「おのれいまだ渡らざる先に 

一切衆生を渡さんと発願し いとなむなり」ということ、つまり「私はまだ未熟で佛になることは

出来ないけれど、どうか皆さんは悟りを開かれて、世間の一切の繋縛から解き放たれて、自由な

佛の身になってください。」という願いをもって日々努力していくことなのです。

 この偈文を唱えてからお袈裟を搭け、法堂(本堂)での朝のお勤めの合図を待ちます。

 禅寺の行事はすべて鳴らし物によって進行していきます。そのため、修行僧はまず一日の

鳴らしものの意味と、鳴らしものの音の出し方を覚えなければならないのです。鳴らし物には

鐘、太鼓、雲板、木板、鈴等様々あって、しかも一度音を出すと取り消すことは出来ません。

もし間違えて鳴らしてしまうと、行事は混乱してしまいます。又、せっかく鳴らしても聞こえなければ

伝わりません。修行僧はひとつの音を出すのにも、細心の注意と神経を使わなければならないのです。

 

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